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TRPG関連のお話

待ち人たち

あとまつげんみばつ

 

まあ、全部後の祭りですわな。俺にできるのは、ただ今を喜ぶくらいのもんですよ。

 

 はあ、こちらがちゆりちゃんのお友達ですか。まあまあみんな利発そうなお顔で結構でございます、俺はちゆりちゃんの兄です、良くしてもらっているとは伺ってますから、どうぞこれからもちゆりちゃんのことを宜しくお願いしますね。あ、これお土産ですから、食べながらどーぞね。
 そいで、俺が今日ここに呼ばれた理由教えてもろても構いませんかね、単に顔合わせってだけならちゆりちゃんのお城まで呼び出す必要はないでしょ、ああお茶ね、そうね話長うなりそうやからね。
 え?結婚します?えらい突飛な話ですね、まあすぐという話でもないのでしょう?もし君が悪い奴ならそのうちそれが出るでしょうから、まあ今のところはさいですかといった所でしょうか。あとその場合俺は君の義理の兄さんになってしまうんですが、そちらは構わんのですかね。
 ……ええー、ちゆりちゃん、お兄腰抜かしそうなんですけれど。飲み込めませんよ帰ってきて早々結婚は。まあちゆりちゃんもいい歳ですから自分で見分けつくでしょうし、あまりに目に余るならお兄が手を出してまうかも分かりませんが……。

 で、何でしたっけ。話してほしい事。
 はあ、家のことですか。そりゃ確かにこう……いやここで良かったんです?ファミレスとかのがこう、周りがガヤガヤしてて静かすぎなくてええんとちゃいますか?え、他には聞かれたくない。分からんでもないですけどね、うーん。
 ま、ええでしょう、それでお気兼ねなくこちらで暮らしていけるって仰るなら、お兄も一肌脱ぐとしますよ。
 ……やあ、ちゆりちゃんには人生でかなったことありませんよ。ずうっと言う事聞きっぱなしなのもいけんのでしょうけどね、これだけ歳離れてると、まあね。

 ほんで、うちのことですね。元々ここら辺じゃなくて関西の方居たんですけども、どぉしても女の子が欲しかった家でのお姫ちゃんでしたからね、もう一家総出の甘やかしって感じで暮らしてまして、そっからちゆりちゃんが8つの時にちゆりちゃんが攫われて、お袋は亡くなってしまいまして。
 ここまでは村の方で聞いたんでしたっけ?いやあけったいな村ですね。ま、もう終わったことですし、何言っても後の祭りですし、ここらへんで。
 で、親父です。一気に大切なもん2つも失って、んで俺はまあ可愛げのあるガキじゃありませんでしたから、生活破綻して首まわんなくなったら謝罪と共に縊死ですね。ぷらんぷらん。文句はないですが見てらんなかったですね、なあんも話しちゃくれずそれでしたから。子供には頼らんのが親心っちゅうもんなのでしょう。
 俺はその後親父のこさえた借金を危ない仕事で返しながら何とか生きてましたね、高校はギリ出れたんですが、最後の方はまあ〜出席してませんし、卒業式とかもまあね。勿体無いことしたかしら、そいえば君らはちょうどちゆりちゃんが消えた頃の、俺の年齢くらいですか。
 君らは折角その歳で出て来れたんですから、ちゃんと楽しいこともしときなさいよ。今後大変なことしかないでしょうけど、おっさんなるとどんどんやる気無くなってきますからね。
 そんで、真っ当なバイトとかっていう選択肢もあったんですけど、まあ真面目にやるならちゆりちゃん探すのも手伝ってやるとの話でしたので、ガキの俺はうっかりそれを飲んで……まあ良くない仕事で銭稼いでましたよ。金ないからって君らはそういうことしないでくださいね、あいつらロクなもんじゃありませんから。求人の見分け方くらい教えてあげますから。
 ま、それは嘘だった訳です。借金も想定より減らず続報も聞けずで詰め寄ったらそう吐かれましたもんでちょっと前に足洗いました。今でも見つかったら追われますから、家持たないで人の探し方事務所で勉強してたっちゅうわけです。まあそれももう要らんくなってしまいましたね、うちのイケメン美少女たちほっとくのもアレですから、追い出されるまで辞めませんけど。
 あ、俺の仕事の話もしとりませんでしたね。探偵……あー、探し物とかしてくれる業者やってましてね、まあ顔は俺じゃなくてバリイケメンがしてるんですが。何かお困りごとがあれば、よしみですから相談くらいは乗りますよ。伝手なんていくらあっても困りませんからね、お互い。
 あとこのお家はちゆりちゃん専用のとこですから、遊び来たら俺もいる……みたいなことはそう無いと思うんで、ま、気にせずね。気にするならちゆりちゃんに確認してもろうてね。

 じゃ、俺の話は終わったんで、質問ねちゆりちゃん。気分いい話じゃとてもない内容だと俺は思うんですけど、どうしてこの子らに聞いて欲しかったんです?
 ……公平じゃない、ね。よう分かりませんけどまあ満足ならええですよ。あとそこのお嬢ちゃん、何ですのその笑顔。なんか、真意を聞いたら後悔しそうな気がむっちゃするのですけど。
 はいじゃあ、他に質問なければお仕舞いということで。
 え?街遊びのオススメスポット?美味しいご飯の店?俺に聞くことじゃないでしょそれ、まあ大体ここら辺とか……そんな顔せんでもパチとか勧めませんから。どんだけ信用ないの俺、今までずっとちゆりちゃんのこと探してたっちゅうのに。え、イケメンとパチ屋から出たの見てた。まあ事務所の金手付けてたので引き摺り出しに行ってますけども。
 ……だからその顔するのやめてくださいます、お嬢ちゃんや。

 にしても、本当にちゆりちゃん帰ってきてくれたんやねえ。死亡届も出した後ですから、バッキバキになったスマホ見るまでは信じられんでしたよ。俺もよーやっと力抜けますわ。
 十年でしたっけ。大変長い月日でございました。自分でも出ようとしたことはあるんでしょ?そしたらきっと、ちゆりちゃん一人じゃとてもじゃ無いが無理だったんでしょうね。
 なんで、坊ちゃん嬢ちゃん、どうもありがとうね。ちゆりちゃんの為では無かったかもしれませんが、結果に対してお礼を申し上げておきます。別に受け取らず聞き流してもろても構いません、神さんよりかは君らに感謝した方がちょうどいいですからね。
 そいでは、俺はここら辺でお暇さして貰います。また機会ありましたら、宜しくお願いしますね。

 

 

…………
→ちゆり
妹。どうしても可愛いのでちょっと手を焼いている。
→寿彦くん
突拍子もない坊ちゃん。弟と思うとちょっと嬉しいかも。将来ちゆりとは別の意味で手を焼くかも。
→舞くん
田舎から出てきたようにあんま思えない。たまに街で見かけるのかもしれない。
→小夜子ちゃん
ニコニコしてこっちを見てくるのでなんかこう キュッ…てなる。いい人じゃないからねー。
→晴斗くん
今は特に印象がなさそうだが、後々食べる量見て一回奢った後目ん玉ひん剥く。